病院で働く検査技師は病院の規模にもよりますがいろいろな検査部門があり、1日の大半は担当部門で検査を行っています。検査には大きく分けて「検体検査」と「生体検査(生理機能検査)」があります。
臨床検査技師が行う検査
検体検査
検体検査とは血液や尿、細胞など患者さんから採取した検体を用いる検査のことで、次のようなものがあります。
- 一般検査
尿や便、体腔液、髄液などの性状や成分を調べます - 生化学的検査
血液や尿に含まれる成分を化学的に分析します - 血液学的検査
血液に含まれる白血球・赤血球・血小板の数や形、機能を調べます - 輸血検査
血液型を調べ、血液製剤と患者さんの血液が適合するかどうか検査します
- 微生物学的検査
喀痰や尿、便を培養し、感染症の原因となっている微生物(細菌やウイルスなど)を特定します - 免疫・血清学的検査
主に感染症やがんの診断のために、血液や尿に含まれる抗原や抗体の有無や量を調べます - 病理・細胞診検査
主にがんの診断のために、採取された組織や細胞からガラス標本を作成します - 遺伝子・染色体検査
DNAの塩基配列や染色体の数・構造を調べます
診療補助の一環として、検査に必要な血液の採取(採血)は看護師や臨床検査技師が担ってきました。さらに2015年4月から臨床検査技師の業務が拡大され、鼻腔・咽頭の拭い液、口腔の粘膜、皮膚や爪の付着物などの採取もできるようになりました。
生理機能検査
生体検査(生理機能検査)とは医療機器を用いて患者さんの身体を直接調べる検査のことで、次のようなものがあります。
- 心電図検査
心臓が拍動するときに流れる微弱な電気信号を記録し、その波形から異常がないか調べます - 脳波検査
脳が活動するときに流れる微弱な電気信号を記録し、その波形から異常がないか調べます - 超音波(エコー)検査
体内の病変部位や胎児の状態を調べるために、体表から超音波を当ててその反射波(エコー)を画像にします - 眼底写真検査
緑内障などの眼疾患や糖尿病などの生活習慣病の早期発見のために、眼球の奥にある血管や網膜、視神経を撮影します - 呼吸機能検査
息を大きく吸ったり吐いたりしてもらうことで、肺の大きさや機能を評価します - 聴力検査
低音域と高音域の聞こえ具合を調べます - 味覚・嗅覚検査
味覚や嗅覚の感度を調べます
それ以外にも検査の準備・片付け、試薬の管理、外注検査の申請など、検査を円滑に行うために不可欠な作業があります。また業務開始前に測定機械のメンテナンスや検査の準備、その日の患者さんのデータ管理や書類の作成を行います。平日と土日・祝日は日勤・夜勤に交代で入り、検査は24時間稼働している状態となっています。
臨床検査技師の1日
朝、出勤したら機械を立ち上げます。8:30過ぎると外来採血がスタートします。
(病院によりますが、当番制で早出があり機械を7:30頃から立ち上げ準備を始め、入院患者さんの検体を外来診療が始まるまで測定しています)
検体検査では血液や尿等を自動分析器で測定し一部の検査は手作業で行います。また採血を行う場合もあります。検査結果が出たら異常な検査データではないか判断しながら報告、その繰り返しです。
午後も午前と同様の業務をこなしていきます。また、試薬の補充や機械の洗浄などのメンテナンスを行います。
その他、外注検査に提出する検体を取りまとめて提出や明日の入院患者さんの採血管の準備し各病棟に配ります。
最後に検査結果報告書をまとめ、作業日誌等に今日の記録を残します。
当直者に業務を引き継ぎ業務終了です。定時で上がれる日もありますが、業務終了後に勉強会があったり、学会の資料を作成したりし自己研鑽に努めています。